有機栽培のメリットは?特別栽培との違いは?栽培方法について徹底解説
有機栽培ってなにがいいの?
値段も普通のより高めだし、なんとなく良いものってイメージはあるんだけど…?
たしかに。
最近だと有機と同じ意味でオーガニックって言葉も使われてるよね。
こんにちわ!ゆる玄米.com運営者のスタコジと申します
この記事ではお米やその他の農作物でよく見かける有機栽培について解説しています
この記事では、
これらのことについて分かりやすく解説していますので、有機やオーガニックに興味のある方はぜひ最後までお付き合いください!
▼▼▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼▼▼
▼▼▼▼▼登場人物▼▼▼▼▼
有機栽培=有機肥料を使用した栽培方法
結論から言うと、有機栽培とは有機肥料を使用した農作物の栽培方法です
日本では有機JASという認定制度をクリアした農作物だけが「有機」や「オーガニック」という名前で販売することができます
農林水産省公式ページより引用
有機肥料のメリット
有機肥料を使うと、これらのメリットが得られます
- 土壌の微生物が育ち、環境への負担が減る
- 作物に独自の味わいが生まれる
メリット①:土壌の微生物が育ち、環境への負担が減る
有機肥料は土壌の微生物を活発にする働きがあります
アミノ酸や炭水化物などの有機物が豊富な有機肥料は、農作物だけでなく土壌の微生物の養分となって、作物・微生物両方の生育を支えます
結果、作物を収穫したあとも微生物が残って土壌の有機物の分解が続き土や水をきれいに浄化してくれます
そうすると畑や田んぼの周りに流れ出る農業用水もきれいになり、農地の周りの生態系を守ることに繋がります
農業廃水は河川に流れ出るので、農地の土と水がきれいになると結果的に周りの自然環境が改善されます。
微生物が作物の生育を助ける
自然界では落ち葉や動物の死骸が植物の栄養になりますが、これらは微生物がいないと植物は栄養として吸収できません
植物が吸収するには栄養素の分子が大きすぎて、微生物に細かく分解してもらう必要があります。
微生物が豊富だと肥料がよく効く
じつは土壌の微生物の一部と作物は共生関係にあるものがいます
これらの微生物は作物の根に寄生するかわりに土壌の養分の吸収を助けたり、根に球状のコロニーを作って根を頑丈にしてくれて、肥料を分解・吸収する力が強まります
▲▲▲根についた丸い固まりは根粒菌といって、土の養分を集めて吸収を助ける働きがあります
そのため、土壌に微生物が豊富なほうがより肥料が効きやすく、肥料の使用量も少なくて済みます
肥料の使用量が少なくて済むので、こちらも環境負担の軽減に役立ちます。
微生物の力って大事なのね。
メリット②:作物に独自の味わいが生まれる
植物が成長するにはリン酸やカリウムなど無機質成分が必要です
一般的に鉱物由来の化学肥料で栄養を補いますが、有機肥料は無機質に加えて有機質成分も多く含み、色々な栄養素が混じっています
そのため成長に必要な無機質だけでなく、色々な栄養素を取りこむことができるので作物に独自の風味が出る効果があります
あくまで感想だけど、お米だと味がやさしくなったり、雑味が減って自然な味わいになることが多いかな。
化学肥料より有機肥料の方が優れてるってこと?
うーん、一概にそうとは言えないんだよね。
ここからは有機肥料と化学肥料について比べてみましょう。
有機肥料と化学肥料の違い
化学肥料=鉱物由来の無機質がメイン
一般的な農作物の栽培には化学肥料が使われます
一般的な栽培方法のことを慣行栽培といいます。
慣行栽培は効率的・安定生産が目的で、地域によって気候や土壌の条件の違いで細かい違いはありますが、使用する肥料や除草剤・殺菌剤の種類や回数が定められています
もともと無かった言葉なのですが、有機栽培や特別栽培といった他の栽培方法と区別するために生まれた名前です。
慣行栽培でよく使われるのが化学肥料
そして肥料には化学肥料を使うのが一般的です
人間とは違い、植物の生育にはリン酸・窒素・カリウムなど無機質が多く必要です
そのため無機質成分を効率良く補えるのが鉱物由来の化学肥料で、足りない養分をピンポイントで補うので即効性があり、撒く手間も比較的少なく済むのが特徴です
ただし、土壌の微生物の栄養にはならないので、使い続けるうちに土壌の微生物が減少して、周りの生態系にも影響が出ることが近年問題視されています
人間の食事で言うなら、化学肥料はすぐに効くサプリメントのイメージ。
植物に必要な無機質成分をピンポイントで補います。
- 化学肥料=鉱物由来の無機質成分がメイン
- 即効性があり、撒く手間も比較的少ない
- 使い続けるうちに土壌の微生物が少なくなる
有機肥料=植物・動物由来の有機質がメイン
一方、有機栽培では紹介したように、肥料には有機肥料を使います
有機肥料は植物を発酵させたボカシ肥や鶏糞・魚粉などの植物・動物由来のものが原料で、植物の生育に必要な無機質に加えて、アミノ酸や炭水化物などの様々な有機質が含まれているのが特徴です
特徴として、ものによりますが、有機肥料の有機質成分は土壌の微生物に分解してもらう必要があります
そのため肥料としては遅効性でゆっくりと効きますが、作物と微生物両方の養分となります
また、化学肥料より撒きづらく、手間がかかりますが、作物を収穫したあとも微生物が豊富な良質な土壌が残り、そして先述したように、それは土壌周辺の生態系を守ることに繋がります
化学肥料がサプリメントなら、有機肥料は主食・主菜・副菜のある定食。
いろんなおかずがあって、炭水化物・アミノ酸(タンパク質)・無機質(無機質)をバランスよく補います。
そう例えられると、ちょっと分かりやすいかも。
有機栽培は続けることで真の効果を発揮する
ここまで解説したように、土壌の豊かさには微生物が大きく関係しています
有益な微生物が多く、作物にとって栄養豊富な土壌のことを地力(じりょく・じりき)が高いと言います
有機肥料で栽培を続けると、土壌の地力を上げることができるのですが、すぐに効果があるわけではありません。何シーズンも繰り返し行うことですこしずつ地力は上がっていきます
有機肥料は1度使ったから劇的に変化があるのでなく、3年・5年・10年と使い続けて真の効果を発揮する肥料です。
早く効く化学肥料と、効果が出るのに時間がかかる有機肥料。
それぞれ長所と短所があるのね。
有機肥料の特徴まとめ…
- 有機栽培とは、有機肥料を使用した栽培方法
- 無機質以外に有機質の成分が豊富
- 遅効性だが、作物だけでなく土壌の微生物の養分になる
- 微生物が育つと養分の吸収を助け、作物を倒れにくくする
- 収穫後も微生物は残り、地力がある土壌になる
- 1回だけでなく何年も使い続けることで真の効果を発揮する
有機JASについて
有機栽培は有機肥料を使うのはわかったけど、有機とオーガニックって一緒なの?
正直、国によって有機やオーガニックの定義はまちまちなんだよね。
日本で作られた作物だったら、有機JAS認定があるものが有機やオーガニックを名乗れるよ。
日本の有機認定=有機JAS認証
有機JASを一言でいうと、日本の法律で定められた有機栽培のルールです
世界的に有機・オーガニック志向が高まっていますが、実情として国によって有機の定義はさまざま。そこで日本の有機栽培についてルール化されたのを有機JAS規格と呼びます
農林水産省公式ページより画像引用
有機JASのルール
有機JASのルールをざっくりまとめると以下の通りです▼▼▼
- 禁止された農薬・化学肥料を使用しない
- 農薬や肥料は自然由来のものを使用
- 栽培中に遺伝子組み換えの種を使用しない
- 適切な栽培がされているか、年に1度の検査を受ける
- これらを2年以上(多年草なら3年以上)継続した土壌で栽培する
有機JASでも使える農薬ってあるんだ!?
無農薬ってイメージがあったから意外!
よくある誤解が、有機=無農薬という認識だね。
もちろん有機栽培+農薬不使用栽培の農作物もあるけど、農薬は決して悪ではないので、有機栽培でも農薬を使う場合はよくあるんだよ。
有機JASをクリアしたものが有機・オーガニックを名乗れる
いくつもの厳しい検査を経て有機JAS認証を受けた農作物に限り、有機やオーガニックといった名称を名乗ることができます
有機JASが設けられる以前は「有機〇〇」や「オーガニック〇〇」「ナチュラル〇〇」といった商品が定義が曖昧なまま多く流通し、消費者の混乱と信用低下を招いていました
全世界的にも有機・オーガニック志向が高まっていることから、日本の有機のルールとして有機JASが設けられた背景があります
今後も有機・オーガニック志向は国を挙げて高まっていくので、ぜひ覚えておきたい認証制度です。
朝日新聞デジタルより引用
有機栽培の見分け方
日本には有機JAS認証があるのは分かったわ。
実際に作物を選ぶ時にはどこを見たらいいの?
ポイントは、
- 有機JASマークがついてるのを選ぶ
- 転換期間中有機農産物を選ぶ
- 特別栽培を選ぶ
この3つを押さえておけばOKだよ!
有機JASマークがついてるものを選ぶ
一番分かりやすいのは、有機JASマークがついた農作物を選ぶ方法です
有機JASと記載されていたり、パッケージに認証マークがついてるので目につきやすく、パッと見て判断できるので最も分かりやすい選び方です
転換期間中有機農産物を選ぶ
有機JAS認定の条件に、「有機栽培を2年以上(多年草なら3年以上)継続した土壌で栽培する」というのがありますが、この慣行栽培から有機栽培に転換の最中で収穫したものを転換期間中有機農産物と呼びます
先述のように、有機栽培は5年・10年と継続することで真価を発揮します
転換期間中有機農産物はその過程での収穫なので、有機JASマークはつきませんが、栽培方法としては有機JASと同様のものです
認証マークなどは無いので、商品の説明に「転換期間中」と記載されてることが多いです。
特別栽培のものを選ぶ
有機栽培に関連する栽培方法で、特別栽培というものがあります
特別栽培は慣行栽培と比べて有機肥料の使用率が50%以上、農薬の使用率を50%以下にすることで受けられる認証制度です
細かいルールの違いはありますが、有機肥料を利用した環境負荷に配慮した栽培方法という点で有機JASと類似点があり、有機栽培の農作物を選ぶ方法のひとつです
特別栽培か見分けるポイントは、
- パッケージに「特別栽培」の文言がついてるか
- 特別栽培の認証マークがついてるか(都道府県によってマークは異なる)
この2点をチェックしてみてください。
特別栽培の認証マークは都道府県によってそれぞれ異なります
例えば秋田県の認証マークはこちらです▼▼▼
公益社団法人 秋田県農業公社より画像引用
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