家庭でできる残留農薬の対処法4選!玄米の残留農薬の心配を無くすには?
玄米には残留農薬が多いって本当…?
口に入るものだから気になる…。
お米の外皮に農薬が残りやすいというのは本当だね。
ただ、農薬の正しい知識と対処法を知れば、決して怖いものではないよ!
玄米だけでなく、農作物でよく話題にあがるのが残留農薬です
食べ物に農薬が残ってると聞くと、やっぱり気になりますよね?
私自身も夏に田んぼに入ってお手伝いをする経験から、農薬のありがたさもわかる一方で、消費者としてできれば安全な食べ物を選びたいと思うのも本心です
しかし、身の回りの食べ物をすべて無農薬にするにはコストもかかってとても大変ですよね
そこで今回は、家庭でもできる残留農薬の対処法についてまとめました
手っ取り早く対処法だけを知りたい方はコチラをクリックしてジャンプもできますが、残留農薬について知るには、ザっと農薬について知るとより理解が深まります
この記事では
という順番で紹介いたします
結論から言えば、農薬は決して悪者ではありません
人は知らないものを怖がってしまいがちですが、農薬の基本を知ればちゃんと対処することができます
農薬について知り、残留農薬の対処法に詳しくなる機会になると嬉しいです
▼▼▼▼▼この記事を書いた人▼▼▼▼▼
▼▼▼▼▼登場人物▼▼▼▼▼
農薬の役割って?
収穫量を守るのが農薬の役割
まず前提として、農薬の役割について紹介します
農薬は、ひと言でいうと農作物の収穫量を守るために使われます
そりゃそうだよね。
農家さんは収穫量が減るのは嫌だし、メリット無かったら農薬なんて使わないよね。
農薬が必要ないなら農家さんもできれば使いたくないのが本音だよね。
農薬もコストになるわけだから。
農薬もコストになるわけだから。
厳しい環境を生きなきゃいけない農作物
田んぼや畑を取り巻く自然環境には、時として不作を招くさまざまな要因があります
- 日照不足
- 異常気象(冷夏・猛暑など)
- 台風
- 害虫
- 害獣
…などなど
農作物はこのような厳しい自然環境のなか、収穫までの数か月間を生き抜かなければいけません
農薬は作物がこんな過酷な環境を生き抜くためのお手伝いとして、時には薬に、時には殺虫剤として身を守るために利用されます
無防備な作物を病原菌・害虫から守る
植物にも病気があり、多くはイモチ病など病原菌をもとに広がる細菌感染です
また、何の対策もしていないとウンカ・イナゴなどの害虫に狙われてしまい、最悪のばあい全滅してしまう恐れもあります
そうならないよう、害虫を駆除する殺虫剤として、病原菌を殺す殺菌剤として、農薬を農作物に直接吹きかけて使います
稲を人間に例えると、裸のまま何か月も外でサバイバルする様なものだよ。
裸のままだと病気にもなれば、ケガもするよね?
人間だって裸のままじゃ病気にもなれば、ケガもするよね?
そう考えると過酷…。
植物は動物みたいに自分では動けないしね。
雑草を除去する農薬(除草剤)
害虫・病原菌はもちろんのこと、加えて注意しないといけないのが雑草です
雑草は農作物に直接被害を加えるものではありませんが、基本的に雑草の方が成長スピードが早く、農作物より先に伸びてしまいます
そうすると土壌の養分を吸い上げ、葉を伸ばして日照を奪って農作物の生育を邪魔してしまうので、収穫量が減ります
その対策として除草剤という雑草だけを枯らす薬剤を撒いて対応します
ちゃんと理由があるんだね。
農薬が悪いとされてる理由
では、農薬が悪いとされてる理由について分かりやすく解説します
農薬の問題点は
ざっくりいうとこの2点です
基準を超える農薬は人体にとって有害
当然ながら、農薬そのものは人体にとって有害です
そのため使用できる農薬の種類や量は法律で決められています
そのため農薬は農薬取締法(*1)によって使用できる農薬の種類を、食品衛生法第11条第3項(*2)によって市販の農作物に残留する農薬量について厳格に定められています
農薬の使用で地域の生態系が崩れる
農薬によって害虫を駆除してしまうと、ある特定の生物が駆除されたことでその地域の生態系が崩れてしまうという別の問題を引き起こします
微生物も一緒で、殺菌剤によって病原菌と一緒に土壌の有益な菌まで殺菌されてしまい、微生物に乏しい、作物が育ちづらいやせ細った土壌になってしまうことも
土力(じりき・じりょく)が弱いって言います。
そうなると、より多くの化学肥料や農薬が必要になる負のスパイラルに陥ってしまうので、それを無くそうと有機農法に転換する動きも出てきています(*3)
土壌の微生物を大事にするのが有機栽培だったね。
残留農薬ってなに?
残留農薬とは、農作物に付着して残った農薬のことを指します
一般的に病気に強い頑丈な作物ほど残留農薬は少なく、病気に弱くて繊細な作物ほど農薬をたくさん使うので、残留農薬は多くなります
実際に玄米に含まれる残留農薬は、基準値のわずか3%
玄米の残留農薬は0.5ppm(玄米1000kg中につき0.5g)以下(*4)と定められています
少し古いデータではありますが、2005年に愛知県衛生研究所が行った研究データ(*5)によると、実際に流通してる玄米の残留農薬値を調べると、基準値のわずか3%というかなり少ない量の残留農薬が確認されています
残留農薬の基準値は、「この先ずっと摂取し続けても健康に影響が出ない量」として設定されてるんだ。
継続して長期間摂取するというのは、かなり厳しい基準だね。
その量の3%ってことだと、必要以上に怖がらなくていいかもね。
どうしても気になる場合は分づき米も有効
その3%の農薬も、多くは玄米の表面にあるぬか層に含まれています
これは精米することで残量農薬の減少するので、気になる方は5分づきなど分づき米にするのもいいでしょう
愛知県衛生研究所より画像引用
日本は農薬の使用量が多い?
すこし話題は逸れますが、
よく耳にするので「日本は世界各国と比べて、農薬の使用量が多い」と聞いたことはありませんか?
たしかに、聞いたことある!
日本の耕地あたりの農薬使用量は世界3位。
— 恋の伝道師 (@koikoi_dendoshi) October 7, 2022
日本は農薬大国だった。
日本を農薬大国に育てた“農薬ムラ”の利権構造 https://t.co/YTbsxFj5bZpic.twitter.com/Jaw2shp5nZ
農薬の使用量だけで比較すると確かに日本の使用量は多く見えますが、これにはもう少し複雑な事情が隠れています
農薬の使用量はお国柄が顕著に出る
まず、アメリカやブラジルなどの農業輸出国の大規模農場で作られる多くは小麦やイモ、コーンなどの穀物が大半を占めます
さらに、海外では遺伝子組み換えによる病気・害虫に強い品種改良が盛んで、そもそもあまり多くの農薬を必要としません(*5)
いわゆるGM農作物(*6)ってやつです。
それと比べると、四季と様々な地形に恵まれた日本では米などの穀物に加えてフルーツや野菜の割合も高く、バラエティーに富んでいます(*7)
農地も農業大国と比べると狭く、山間部など周りは虫や獣も発生しやすい自然環境に囲まれています
特に果樹は果実の糖度が高いのですぐに害虫が寄ってきて、キズや病気のもとになりがちです
麦などの穀物に比べると繊細で傷つきやすく、当然農薬の種類も使用量も増えていきます
このように作付けする品種(GM)、農場の規模、周辺環境などにより農薬の使用方法は変わるので、一概に農薬の種類・使用量だけを比較するのは難しいのです
農薬の使用量だけでは一概に言えないってことだね。
とはいえ現状では世界的、特に農薬の制限が厳しいヨーロッパ諸国では今後さらに農薬の使用に関して規制がかかり、比較されると相対的に日本の農薬使用量は多いと受け止められてしまうのも事実です
家庭でできる残留農薬の対処法4選
家庭でできる玄米の残留農薬の対処法は以下の通りです
対処法①:よく洗い、しっかり水に浸ける
農薬の多くは水溶性なので水でしっかり洗うことでゴミや農薬を除去する働きがあります
玄米を研ぐ時は泡だて器を使うと効率よく洗えます。
お米同士を擦り付けるように5分ほど混ぜてみてください。
玄米が硬くて苦手な人にオススメなのが、泡立て器でのお米研ぎです
— スタコジ|ゆる玄米 (@yurugenmai) August 23, 2022
泡立て器でお米同士をこする感じで約5分研ぐと、玄米の表面にキズがついて水が浸透しやすくなり、内側からふっくらと炊くことができます
水加減やお塩を一つまみ入れるのも大事ですが、硬さが気になる方はぜひ試して見てください😄 pic.twitter.com/zupVYrTaQy
水をこまめに替えてやることで溶け出た農薬を玄米が吸うのを防げるほか、天然の乳酸菌など菌の繁殖を防いですっぱい臭いを防止できます
炊く前の水を替えるなど、こまめに水を替えてやるといいでしょう
水に浸けるのはおいしく玄米を炊くうえでも、とても重要です。
【参考】玄米をおいしく炊くコツを解説!柔らかく炊くにはロウカット玄米や発芽米がオススメな理由
対処法②:農薬用洗剤を使う
玄米を研ぐ際に農薬用洗剤を使うのも有効です
最近買ったもの。
— **かえ** 🌸 (@kae_caesygia) March 3, 2021
Washell って商品で野菜などを洗うものです。
ホッキ貝を1000℃以上で焼いて粉にした天然物で強アルカリ。
野菜の農薬落としてくれるそう。
実際ミニトマトやブロッコリーを溶かした水に浸けてるとうっすらと表面に油浮いてきたよ。
これは良いです👍️ pic.twitter.com/WDlNV4xQ6W
農薬用洗剤はホッキ貝やホタテの貝殻を精製して作られた天然由来成分で、強アルカリ性により農作物のタンパク質やワックスを分解し、同時に残量農薬を除去する効果があります
使い方は付属のスプーン1杯を水に溶かして、通常の野菜なら5分ほど浸け置き、玄米なら米研ぎの際に溶かして洗い、しっかりすすげばOKです
対処法③:減農薬・農薬不使用の玄米を選ぶ
玄米の研ぎ方ももちろん大事ですが、はじめから農薬を減らして栽培されたものや、農薬不使用栽培のものを選ぶのもとても有効です
- 減農薬…慣行栽培よりも農薬の使用を減らして栽培
- 特別栽培…農薬の使用率5割減・有機肥料を5割以上使用
- 有機JAS…有機JAS規格に定められた栽培方法(*8)
- 農薬不使用…農薬をまったく使用せずに栽培
- 栽培期間中農薬不使用…種や苗など、農地に植える以前に農薬を使用。それ以降は不使用
食べチョクなど産直ECサイトを利用すると、こだわりの農作物をカンタンに探して購入できるのでとてもおすすめです
対処法④:残留農薬検査を実施したものを選ぶ
ごくまれにですが、何らかの理由で農薬の基準値を超えた農作物が流通してしまう事件が起こってしまいます(*9)
このように安全だと思って買った作物が、基準を超えてしまっていたということを防ぐ対策として、農協や農家さんが独自に残留農薬検査を実施したものがおすすめです
例えば、JA全農岐阜では出荷の際に残量農薬の自主検査が行われています(*10)
農家さんやお米屋さんの小売りでも「残留農薬検査済」「残留農薬ゼロ」といった検査が行われたものを選ぶといいでしょう
まとめ
今回は家庭でできる残留農薬の対処法と、農薬の基本について解説したしました
農薬と無農薬…どちらが良い悪いではなく、正しく知ることで農作物に対する見かた、普段の食生活の改善などに活用してもらったらうれしいです